プレゼンチェックリスト
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自分の研究の理解度チェック
簡潔にそれぞれ1-2行程度で書けるようにしてから、スライド作成に移る。
絶対に必要な3点セット
- 何故その研究が必要か
- 応用面 (社会的側面への意味は?社会的重要性):
- 基礎面 (当該分野においてどんな意味を持つか?):
- 何をやったか:
- 何が分かったか (特に新規性):
他にも大切なこと
- 驚きポイント(最も強調したい結果)は何か?→ 主張のエッセンスは何か?
- テーマ=主題設定=Research Question=(抽象的学術的疑問)は何?
- Literature Review:
- 主題(Research Question, 抽象的な学術的問い)の先行研究にあたるものの調査はできてる?
- 対象(具体的な研究対象,抽象的Research Questionを議論するためのMaterial, Methodology)に対応する先行研究の調査はできている?
- 理論的フレームワークの先行研究にあたるものは?
- 方法論と方法の先行研究にあたるものは?
- 「抽象的な研究したい概念」と「具体的に調査できるもの対象」の切り分けを意識しできてる?
- 自らの研究の力点・エッセンスを意識してまとめて。
言葉遣いチェックリスト
- 略語使用時は初出で全称+略称を併記しているか?必ずしも全ては必要ない。聴衆を考えて。
- 具体例
- Solid electrolyte(SE)
- Stokes-Einstein式(SE式)
- 実験系の人が多い場所: 分子動力学法(MD), 密度汎関数法(DFT)
分子シミュレーション討論会だったらMDそのままでも問題ないだろう
- 具体例
- 単位は明記されているか?
- 数値と単位の間は半角スペースを入れているか?
ex. 1kJ/mol → 1 kJ/mol - 人名法則名はRoman体か?
- ○ Green-Kubo式 × Green-Kubo式 - 物理量(スカラー量)はItalicになっているか?
ex. 位置 (x, y, z) → (x, y, z) - ベクトル量・MatrixはBoldか?
ex. 位置 r = (x, y, z) → r = (x, y, z) - 物理量の添字について以下のルールを遵守しているか?
- 物理量又は順序数のような数学的変数を表す添字がItalicになっているか?
- 単語又は数を表す添字は,Romanか?
- ボルツマン定数: $k_{\mathrm{B}}$ … Bに物理的意味はないのでRoman
- 粒子iの位置: ri
- 定積熱容量: CV … VはVolumeで物理量なのでItalic
- 「〜と考えられる」は出来るだけ避けたか?
- prove / show / demonstrate / suggest / indicate / supportを使い分ける
- 補足: 〜と考えられるで be considered as は論文で使わない
- 文字数を可能な限り減らしたか?
- 長い文章にならないようにできるだけ箇条書きで簡潔に記述するよう心がけてください
→ 長文は避けて箇条書きで簡潔に - 自身の研究のエッセンスを表すキーワードを決めているか?
→ キーワードを使い回すことで、聴衆の記憶に刷り込む。
- 長い文章にならないようにできるだけ箇条書きで簡潔に記述するよう心がけてください
Introduction = 自分の研究が何故必要かを伝える
流れとしては、
テーマ or 主題明示 or Research Question
→ Literature review
→ 具体的な目的、課題明示
スライドは、5W1Hよりも分かりやすい因果関係Whyを明示することを意識すると聴衆が理解した気分になれる。
- 不必要な情報は出来るだけ消す → Less is More!
- 上記の基礎的重要性が明記されているか?当該分野へのインパクト
- 上記の応用的重要性が明記されているか?当該分野外&社会へのインパクト
- 以下のうち最低限一つは満たしているか?
- 過去の研究の課題 or 問題点が明記されているか?
→ 研究の必要性を示すことに対応 - 過去の研究でどこまでやられていて何がやられていないか & やられていない理由が明記されているか?
→ 課題設定や方法論の妥当性明示に対応 - これまでやられていなかったこと or 課題の解決に向けてのアプローチの方向性が書かれているか?
- 本研究の目的が書かれているか?
→ 具体的なもの。 - 全体の流れとして以下になっているか?
- 基礎+応用面における研究の重要性
- 過去の研究の課題 or やられていないこととその理由
- 研究の目的・本研究ではどうやってその課題をとくか
Computational details
- 計算ソフトウェアの変数名をそのまま使わず、物理的に正しい用語を用いているか?
- Gaussian
- wb97xd → ωB97X-D
- HF → HF
- 6-31g(d) → 6-31G(d)
- …
- VASP
- PE → PBE
- ISIF = 1 → 構造最適化
- …
- Gaussian
- (可能であれば) Literature reviewにて、方法論と研究対象・system選択の妥当性を明示できているか?
- 計算条件となるパラメタ間にも、情報の重要度のグレードをつけられているか?
→ 物理的・化学的条件に対応する手法, 補正などは非常に重要。
= 表面のdipoleや周期的境界性、ファンデルワールス補正etc.などの取り扱い。
単なる固有値問題の対角化や空間の完備性に関連する情報は、 上記の物理的・化学的な現実の環境を再現するための計算条件と比べると重要度は低いため省略可能。
Results & Discussion
- 結果の文章と考察の文章が同レベルで書かれていないか?
→ 事実と解釈は異なる - Introductionで書いた目的を達成したことを示すのに必要な図表で構成されているか?
- 隣り合った図の横軸 or 縦軸が揃っているか?
- 一つの図で赤・緑のような色覚異常を持つ人にとって区別しにくい色使いをしていないか?
Conclusion
- 何をやって何が分かったか明記されているか?
- 結果 と 考察が同じ階層に書かれていないか?区別されているか?
ex. 過剰書きのリストで結果 / 考察が並列にかかれていたら× - Introductionで書いた目的に対するAnswerになっているか?
References
- 参考文献の書き方は統一されているか?
- 参考文献の番号に振り間違いがないか?
デザイン(最後の仕上げでやればOK)
- テーマカラー / 強調色に則ったデザインか?
- 色の明度や文字サイズによって,情報の重要度を伝える
- 色はできる限り減らす.
- 各パネル / 隣り合った図の横軸 or 縦軸が揃っているか?
- 色覚異常を持っている人への配慮ができた色使いか?
→ https://amix-design.com/tl/tool-c-vision/ で視認性に問題がないかチェック - 結果 と 考察が同じ階層に書かれていないか?
ex. 過剰書きのリストで結果 / 考察が並列にかかれていたら× - 文章の説明を出来るだけ分かりやすい概念図(イメージ図)に置き換えられているか?
- 図や主張文章が、スライド内でZ型もしくはN型になるように配置されているか。
- 文字サイズによって情報の重要度を区別しているか。
ex. 聴衆は大きい文字から、スライドをざっと見る傾向がある。大文字を読むだけでスライドのstatementが理解できるようなデザインを考えると良い。 - 各スライドにone statementを対応させているか?
- Lab内発表では、現在までの進歩と困っている点も載せる.
- 正しい論理・厳密性が必ずしも、情報をうまく伝える手段ではない。情報を伝えるためには、類似概念やイラスト、ある程度のイメージ言葉の利用も推奨。→ 研究のエッセンスを伝えることが最も重要